水回りの豆知識

10. 災害(台風・地震など)が起こったら~給水方法による対応の違い~

ご自身がお住まいのマンションについて、「給水方法」はご存知でしょうか。私たちの住んでいる日本では「水と安全はタダ」などと昔は揶揄されたものですが、日本では当たり前のように安全な水をいつでも手に入れることができるので、普段あまり意識されたことはないと思います。しかしそれと同時に、台風や地震など、日本には自然災害の危険もあります。今回は「給水方法」に観点を置いて、災害時の対応について一緒に見ていきましょう。
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主流3方式の給水方法のメリット・デメリット

①受水槽方式:高置水槽方式
水道管から受水槽に貯めた水を揚水ポンプで、屋上に設置した高置水槽へ送り、そこから重力を使って各戸に配水する方式です。

メリット
受水槽と高置水槽の2ヵ所に、合計2日分程度の水が貯水されているため、断水・停電時にもそこから水を使用することができます。
デメリット
災害時には上層階は水が出やすく、低層階にしたがい、水が出にくくなります。停電時にポンプが作動しないため、直接水槽から汲み出す必要があります。また、屋上に設置されている高置水槽は、地震の揺れで破損して水が漏れ出して利用できなくなってしまうこともあります。

②ポンプ直送(ブースター)方式
水道管から受水槽に貯めた水を給水ポンプで、直接各戸へ配水する方式です。

メリット
受水槽に1日分程度の水が貯水されているため、断水・停電時にはそこから水が使用することができます。
デメリット
停電時にはポンプは作動しないため、直接水槽から水を汲み出す必要があります。

③直結増圧式(水道直結方式)

水道管からの水を、給水ポンプによって直接各戸へ配水します。技術の向上で、水圧問題が解消されてきたことにより、最近の新築マンションではこの方式を採用していることが多く見受けられます。

メリット
受水槽の設置スペースが不要です。断水・停電時でもマンションの1階から3階までは自力で水が出るため、そこから協力して全戸に水を分かち合うことが可能です。
デメリット
受水槽がないため、断水・停電時には全戸分の貯水がありません。

以上が、主流3方式のメリットとデメリットです。
災害時は自身と家族の安全を守ることが第一ですが、助け合いも大切です。
マンションなどの集合住宅では、自分の住まいだけではなく、全戸に水がいきわたるよう、住んでいる人同士の協力が必要です。契約時に、不動産会社から案内があるかもしれませんが、そういった案内がない場合、周りのお宅に声をかけて、防災マニュアル等が作られているか確認しましょう。もしマニュアルがない場合、あなたが中心になってマニュアルづくりにとりかかりましょう。

なお、防災マニュアルのほか、住人同士で協力して防災用の井戸を設置しているマンションなどもあるようです。災害時には周りとの協力が欠かせません。助け合いの精神をもって、自分だけではなく周りの人もちゃんと生活ができるよう支えあいましょう。